アンテナ端子がない場所でテレビを楽しみたい方や、アンテナ工事を避けたいと思っている方には、室内用地デジアンテナがおすすめです。この記事では、
室内用地デジアンテナの基本知識や、そのメリットとデメリットについて詳しく解説します。
さらに、室内用地デジアンテナの選び方や、購入後に映りが悪いという問題を避けるための注意点についても説明しています。そして、おすすめの機種の紹介も行っているので、ぜひ参考にしてください。
地デジ用室内アンテナとは?

地上デジタル放送をテレビで視聴するためには、室内に設置できる地デジ用室内アンテナがあります。これらはUHF帯の電波を使用しており、室内用UHFアンテナとも呼ばれます。UHF帯は、テレビ放送の他に、携帯電話などさまざまな通信用途に用いられる周波数帯の一つです。
地デジを通じて美しく迫力ある映像を楽しむには、アンテナとテレビの接続が必須です。しかし、屋外アンテナを設置できない環境での視聴を希望する場合、地デジ用室内アンテナが非常に役立ちます。この記事では、屋内専用と屋内・屋外兼用の両方のタイプを紹介しています。
地デジ用室内アンテナのメリット

地デジ用室内アンテナのメリットは、主に3つあります。
- 安価でコンパクト
- 設置工事が不要
- 天候の影響を受けにくい
これらの内容について、詳しく説明していきます。
安価でコンパクト
地デジ室内アンテナは、安いもので数百円から、高いものでも約1万円程度で購入できます。これは屋外アンテナの数千円から数万円と比較してもかなり安価です。また、室内での使用に適したコンパクトさも大きなメリットです。
設置工事が不要
地デジ室内アンテナは、ケーブルをテレビに接続するだけで受信可能であり、設置の手軽さが魅力です。パッケージから取り出し、テレビのアンテナ入力にケーブルを接続するだけですぐに使用できます。
一方、屋外アンテナの設置には専門業者の工事が必要で、費用は平均して4万円から8万円かかりますが、室内アンテナの設置費用はかかりません。
天候の影響を受けにくい
室内アンテナは主に室内に設置するため、強風の影響を受けにくい点もメリットです。対照的に、屋外アンテナは強風で位置がずれたり、最悪の場合には落下するリスクがあります。
さらに、屋外アンテナに積もった雪が原因で地デジが映らなくなりますが、室内アンテナならそのような心配はありません。
地デジ用室内アンテナのデメリット

地デジ用室内アンテナのデメリットは、主に3つあります。
- 受信性能が低い
- 設置場所を選ぶ
- 衛星放送(BS・CS)は受信できない
これらの内容について、詳しく説明していきます。
受信性能が低い
地デジ用室内アンテナは、屋外アンテナに比べて受信性能が低めに設計されています。「アンテナ利得」がこの性能の差を示しており、室内アンテナは屋外アンテナよりも利得が低い傾向にあります。
以下は日本アンテナが手掛ける、屋内・屋外兼用アンテナと屋外用アンテナの、アンテナ利得の比較です。
設置場所 | 製品番号 | アンテナ利得 | アンテナの形状 |
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屋内・屋外兼用 | UDF85 | 6.5~8.5dB | 薄型 |
屋外用 | UDF90 | 7.8〜9.7dB | 薄型 |
屋外用 | AU5AX | 7.1〜10.1dB | 八木式(魚の骨型) |
受信の手軽さを求める代わりに、映像の美しさや迫力を重視する場合は、屋外アンテナの使用を検討してください。
設置場所を選ぶ
地デジ用室内アンテナの受信状態は設置場所によって大きく変わります。理想的な受信を求めるなら、電波塔の方向への調整や設置場所の工夫が必要です。ただし、最適な場所が必ずしも窓際とは限らず、意外な場所がベストポジションになることもあります。
また、アンテナとテレビをつなぐケーブルの配置には、生活動線を妨げないよう注意が必要です。
衛星放送(BS・CS)は受信できない
一部の地デジ用室内アンテナでは、衛星放送(BS・CS)の受信が可能とされていることがありますが、実際には地デジと比べて電波が微弱なため、十分な受信結果を期待するのは難しいでしょう。衛星放送を楽しみたい場合は、屋外にパラボラアンテナの設置を専門業者に依頼することをおすすめします。
種類が多い
Amazonで「地デジアンテナ 室内」で検索すると、実に数百種類の地デジ用室内アンテナが表示されます。この中から適切なものを選ぶのは難しいです。多くの製品には受信性能を表すアンテナ利得の情報が記載されていないため、比較検討が一層困難です。
適切に選ばずに地デジ用室内アンテナを購入して満足に受信できるケースは、非常に運が良かったか、あるいは電波の強い地域で視聴していた場合に限られます。地デジ用室内アンテナでの快適な視聴には、使用するエリアの電波の強さに合った製品選びが必要です。
地デジ用室内アンテナおすすめの選び方

地デジ用室内アンテナは、2段階で選ぶのがおすすめです。
- 使用するエリアの電界強度を判断する
- エリアの電波の強さにあったタイプを選ぶ
あわせて、ケーブルの長さにも注意してください。
1.使用するエリアの電界強度を判断する
電界強度を判断するには、4つの方法があります。
- 電波塔の距離から判断する
- 周りの住宅のアンテナから判断する
- ワンセグ放送の受信状態から判断する
- レベルチェッカーを使用する
電波塔の距離から判断する
地デジの電波を発信する電波塔から受信したいエリアまでの距離を基に判断します。もし近くの電波塔の位置がわからなければ、一般社団法人放送サービス高度化推進協会のホームページを開き、住所や郵便番号を入力して検索してください。
一般に、電波塔が肉眼で確認できればそのエリアは地デジ電波が強いとされる強電界地域ですが、障害物の影響で電波が弱まることがあります。電波塔の距離は、あくまで一つの目安として考えてください。
周りの住宅のアンテナから判断する
地デジ用室内アンテナの使用を検討しているエリアの一戸建て住宅のアンテナを観察してみてください。八木式ではなく、約60cmの長さの板状の薄型(デザイン)アンテナが見られる場合、そのエリアは強電界地域、または比較的電波が強い中電界地域である可能性が高いです。
ワンセグ放送の受信状態から判断する
スマートフォンなどでワンセグ放送が受信できる機器を用いて電界強度を確認する方法です。ワンセグ放送は地デジと同様に同じ電波塔から送信されていますので、ワンセグの受信状態を通じて地デジの電波の強さを推測できます。
地デジ放送を楽しむエリアでワンセグがクリアに受信できれば、そのエリアは強電界地域である可能性が高いです。受信状態が場所によって異なる場合、電波状況はそれほど良好ではないかもしれません。
レベルチェッカーを使用する
電波の強さを測定するレベルチェッカーの使用が最も信頼性が高い方法です。簡易型のものでも数千円、本格的なものでは数万円にもなるため、一般的にはあまり現実的ではないかもしれません。
レベルチェッカーはテレビアンテナの工事業者が通常持っている機器です。料金は業者によって異なるため、見積もりを取ることをおすすめします。
2.エリアの電波の強さにあったタイプを選ぶ
室内用地デジアンテナは以下の3種類に大別できるので、地デジ放送を視聴したいエリアに合わせて選んでください。
強電界地域向け
強電界地域には、地デジ電波が強いエリアで最適な室内用アンテナが含まれます。屋内専用やコンパクトでデザイン性の高いアンテナが多く、推奨されるアンテナ利得はおおよそ5dB程度です。ただし、多くのメーカーがこの情報を直接表記していないため、購入前にはパッケージで「強電界地域向け」と明示されているかを確認してください。
強・中電界地域向け
強・中電界地域向けは、強電界地域に限らず中電界地域でも使用できる室内アンテナです。屋内外兼用で、室内受信が困難な場合に外に設置して対応可能です。電界強度に不安がある場合は、アンテナ利得が5〜10dBの範囲にある製品を選ぶとよいでしょう。製品選定時には、「強・中電界地域向け」と表示されていることを確認してください。
ブースター付
ブースターは地デジ電波の増幅を助ける装置で、その性能に過度な期待を寄せるべきではありません。特に弱電界地域では、室内アンテナ単独での受信が難しいため、ブースターを加えてもクリアな受信を保証するものではありません。ブースターは映りが若干悪い場合の補助的な使用を目的としています。
ケーブルの長さも要チェック
強・中電界地域で地デジアンテナを設置する際には、電波受信状況の良い場所を選ぶことが重要です。テレビが設置されている場所から離れた位置にアンテナを設置する必要がある場合もあるため、ケーブルの長さが十分であるかを購入前に必ずチェックしてください。
地デジアンテナ室内設置おすすめ商品5選

室内用地デジアンテナのおすすめを、強電界地域用と強・中電界地域用の5種類を混ぜて紹介します。強・中電界地域用のものは屋外設置も可能です。そのため、室内の電波状況が悪い場合には、サッシ用アンテナケーブルや延長ケーブルを使用し、地デジ視聴に挑戦してみてください。
DXアンテナ「UHF平面アンテナ」UAH261
画像引用:DX ANTENNA
製品名 | UHF平面アンテナ |
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製品番号 | UAH261 |
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製造会社 | DXアンテナ |
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UAH261は強・中電界地域用の地デジアンテナで、8.4〜10.2dBの高いアンテナ利得が魅力です。付属の取付金具を使用して、室内や屋外の適切な箇所に固定し、使用します。白と黒に加え、ブラウンも用意されており、家の外観にマッチしたタイプを選べます。
サン電子「UHFアンテナ」SDA-5-2
画像引用:サン電子株式会社
製品名 | UHFアンテナ |
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製品番号 | SDA-5-2 |
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製造会社 | サン電子 |
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SDA-5-2は、強・中電界地域用の地デジアンテナです。内蔵ブースターを使用することで、19~26dBのアンテナ利得を実現しています。また、屋外設置にも耐えうるタフさが魅力です。白と黒、ライトブラウン、グリーンの4色を用意しており、ブースターなしの「SDA-5-1」も好評です。
DXアンテナ「UHF室内アンテナ」US120AW
画像引用:DX ANTENNA
製品名 | UHF室内アンテナ |
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製品番号 | US120AW |
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製造会社 | DXアンテナ |
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US120AWは、ユニークなデザインを持つ強電界地域用の地デジアンテナです。ブースターを内蔵することで、15〜20dBのアンテナ利得を実現しています。底面積が85×85mmというコンパクト設計で、ちょっとした隙間にも設置できます。
日本アンテナ「室内アンテナ(ブースター内蔵)」CRAB10
画像引用:日アンねっと
製品名 | 室内アンテナ(ブースター内蔵) |
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製品番号 | CRAB10 |
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製造会社 | 日本アンテナ |
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CRAB10は、薄型テレビを小さくしたようなデザインを採用した、強電界地域用地デジアンテナです。約200gという軽量さで、好みの場所への持ち運びが便利です。11〜16dBのアンテナ利得を実現していますが、ブースターなしの「CRA10」も用意されています。
日本アンテナ「地デジ室内アンテナ」ARBL1
画像引用:日アンねっと
製品名 | 地デジ室内アンテナ |
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製品番号 | ARBL1 |
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製造会社 | 日本アンテナ |
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ARBL1は、強電界地域用の地デジ室内アンテナで、白と黒の2色がラインナップされているアンテナです。ブースターを内蔵することで11〜17dBのアンテナ利得を実現しています。縦型ですっきりしたデザインのため、チューナー内蔵PCともマッチします。
地デジ用室内アンテナ選びのQ&A

ここからは地デジ用室内アンテナ選びでよくあるQ&Aをあげていきます。おすすめの購入場所などを活用して、快適な地デジ放送の視聴に役立ててください。
地デジ用室内アンテナはどこで買うのがおすすめ?
自宅の近くにある家電量販店での購入をおすすめします。理由は店員が自宅のあるエリアの電波の強さを把握していることが期待でき、おすすめしてくれる地デジ用室内アンテナに信憑性があるからです。
地デジ用室内アンテナが映らなかったら返品できる?
アンテナが不良品でない限り、返品はできませんので、購入前に自宅の電界強度を調べ、どの種類のアンテナが適しているかを考えましょう。パッケージに記載されているアンテナ利得などの情報も見落とさないようにしてください。
地デジ用室内アンテナでおすすめのメーカーは?
安心感や信頼性の高さから、DXアンテナ・日本アンテナ・サン電子・マスプロの国内4大メーカーがおすすめです。価格と性能が比例するのが、地デジ用室内アンテナです。安物買いの銭失いにならないように注意してください。
まとめ
地デジ用室内アンテナでテレビを楽しむには、視聴するエリアの電界強度を知ることと、マッチしたタイプを選ぶことが大切です。とはいえ地デジ用室内アンテナでは障害物などの影響で、強電界地域でも満足いく視聴ができないことは多々あります。
地デジ用室内アンテナ一つで十分と考えずに、あくまでも屋根上などに設置した据付タイプのアンテナの補助として扱ってください。